予防的措置

[ ヨボウテキソチ ]

解説

欧米を中心に取り入れられてきている概念で、化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や対策(予防的措置)や考え方(予防原則)のこと。

この概念は、因果関係が科学的に証明されるリスクに関して、被害を避けるために未然に規制を行うという「未然防止(Prevention Principle)」とは意味的に異なると解釈される。

1992年の国連環境開発会議(UNCED)リオ宣言は、原則15で予防原則について以下のように記している。「環境を保護するため、予防的方策(Precautionary Approach)は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない」。

これは、地球温暖化対策などで、科学的な不確実性を口実に対策を拒否または遅らせる動きの牽制とする意味合いもある。

なお、国際的には「オゾン 層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(1987年)で 初めて予防的対策として明文化され、その後、気候変動枠組条約、生物多様性条約、POPs条約、水俣条約等で取り入れられている。また、フランスの環境憲章やEUのREACH規則等国、地域レベルでも導入されている。日本では第六次環境基本計画(2024)で環境政策における原則の一つとして予防的な取組方法が位置付けられており、また、国際条約を通じて国内法に取り入れられている。(2026年8月更新)

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