世界農業遺産
[ セカイノウギョウイサン ]
2002年に国連食糧農業機関(FAO)が開始したプロジェクト。社会や環境に適応しながら何世代にもわたり発達し、形づくられてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わって育まれた文化、景観、生物多様性に富んだ、世界的に重要な地域を、「地域システム」として一体的に維持保全し、次世代へ継承することを目的にしている。
国連教育科学文化機関(UNESCO)が推進する「世界遺産」は、遺跡や歴史的建造物、自然などの「不動産」を登録して保護するのに対して、GIAHSは地域のシステム全体を認定することで保全につなげることをめざす。
日本では、2011年6月に北京で開催されたFAO主催の「世界農業遺産国際フォーラム」で、「トキと共生する佐渡の里山」(新潟県佐渡市)と「能登の里山里海」(石川県能登半島)が、日本初の認定を受けている。その後、「静岡の茶草場農法」(静岡県、2013年5月)、「阿蘇の草原の維持と持続的農業」(熊本県、2013年5月)、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」(大分県、2013年5月)が認定されている。
世界各国では、2015年5月現在で32サイトが認定されており、この他95の候補地が申請されている。うち日本からは、「清流長良川の鮎」(岐阜県長良川上中流域)、「みなべ・田辺の梅システム」(和歌山県みなべ・田辺地域)「高千穂郷・椎葉山の森林保全管理が生み出す持続的な農林業と伝統文化 -森と農林文化が創る森林理想郷-」(宮崎県高千穂郷・椎葉山地域)の3件が申請されている。(2015年5月作成)