ニホンジカ
[ ニホンジカ ]
日本に生息する野生シカの総称。学名(Cervus nippon)にニッポンと入るが、日本固有種ではなく、ベトナムから極東アジアにかけて広く分布する。日本産亜種は、エゾシカ(北海道)、ホンシュウジカ(本州)、キュウシュウジカ(四国・九州)、マゲジカ(馬毛島)、ヤクシカ(屋久島)、ツシマジカ(対馬)、ケラマジカ(慶良間列島)の7亜種で、大きさは亜種や生息地によって大きく異なる。最大はエゾシカ、最小はヤクシカ。国内の哺乳類としては大型で、ヒグマ・ツキノワグマ・イノシシ・カモシカとともに5大大型獣とされる。
険しい山岳地以外の草地を含む森林地帯を中心に生息する草食獣。夏毛は茶色で白斑があり(鹿の子模様)、冬毛は灰褐色。顕著な性的二型(雌雄で外形が異なる)を示す。生息環境は常緑広葉樹、落葉広葉樹、寒帯草原など多様であるが、森林から完全に離れて生活することはなく、パッチ状に草地が入り込んだ森林地帯に多く生息する。
出産期は5月下旬-7月上旬で通常1仔を出産する。交尾期は9月下旬-11月で、妊娠期間は220日。一夫多妻制の社会で、雄の一部は交尾期にナワバリをつくり、その中にハレムを形成する。
近年、北海道や丹沢、尾瀬ヶ原、大台ヶ原など全国各地で個体数が著しく増加している生息地が多くなり、農林業被害や森林生態系への影響が深刻となっている。