ダム
[ ダム ]
河川法(1964・国土交通省所管)上、ダムは「流水を貯留する目的で築造された高さ15m以上の構造物」と定義されている。一般的にダムはその使用目的から、洪水調節、農地防災などを目的とした「治水ダム」と発電、農業用水、上下水道用水、工業用水などを目的とした「利水ダム」、またこれらのうち二つ以上を目的とした「多目的ダム」に分類される。日本のダムの多くは「多目的ダム」である。
日本は明治以降、近代治水としてのダム建設に取り組んできたが、戦後は工業化推進に伴う水力発電、工業用水、都市住民のための生活用水、さらには下流域での氾濫防止を目的として多くのダムが造られてきた(2003年3月現在、日本に建設されたダムの総数は2,704、調査中あるいは工事中のダムは400以上)。
このようなダム建設とそれに伴う湛水池の出現は、地域の生態系に大きな影響をもたらすばかりでなく、下流域の減水、河川の分断は河川生態系にも多大な影響を与えることとなった。また、ダムによる治水効果や利水の必要性にも疑問の声が出はじめたこともあり、近年では、ダムの建設そのものを見直す動きが増えてきた。