カーボンバジェット

[ カーボンバジェット ]

解説

「カーボンバジェット」(炭素予算)とは、人間活動を起源とする気候変動による地球の気温上昇を一定のレベルに抑える場合に想定される、温室効果ガスの累積排出量(過去の排出量と将来の排出量の合計)の上限値をいう。この考え方に基づき、過去の排出量と気温上昇率を元に、将来排出できる量を推計できる。ただし、「どのくらい温室効果ガスが増えれば気温が何度上がるか」という比率(「気候感度」)には幅があるので、カーボンバジェットにも幅が生じる。

IPCC第5次評価報告書の統合報告書によれば、2100年までの範囲では、二酸化炭素累積排出量と、予測される世界平均気温の変化量の間に、強固で、整合的で、ほぼ比例の関係があることが明らかになっている。1861-1880年平均と比べて人間活動を起源とする全気温上昇を、66%以上の確率で2℃未満に抑えるためには、1870年以降の全ての人為起源の発生源からの二酸化炭素累積排出量を約2,900ギガトンCO2(2.9兆トン)未満に留めることが必要である。2011年までに既に累積で約1,900ギガトンCO2(1.9兆トン)が排出されていることから、累積排出量を約2,900ギガトンCO2未満に留めるためには、2012年以降の世界全体での累積排出量を約1,000ギガトンCO2、すなわち約1兆トンに抑える必要があるということになる。(2018年3月作成)

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