アマミノクロウサギ
[ アマミノクロウサギ ]
ウサギ目ウサギ科の中型哺乳類。奄美大島と徳之島のみに分布する1属1種の固有種。全身黒褐色で、頭胴長40-50cm、体重2kg前後。ノウサギに比べると、頭胴長は同じくらいだが、耳と四肢は半分程度しかない。夜行性で、発達した常緑広葉樹林を中心に生活し、さまざまな草木の葉や果実を食べる。ウサギ類では珍しく鳴き声でコミュニケーションをする。
生息数は減少、分布域は縮小傾向にある。1990年代の生息数調査で、奄美大島に数千頭、徳之島に数百頭と推定されている。1963年に特別天然記念物に指定、また環境省レッドデーターブックでは絶滅危惧IB種(EN)とされている。森林伐採、林道建設、河川改修など生息地の開発行為の影響を強く受ける。森の木のうろなどに巣をつくるため、森林伐採による打撃はとりわけ大きいと考えられている。また、移入動物(マングース、ノイヌ、ノネコなど)による捕食も存続を脅かす要因となっている。
日本における自然の権利訴訟の第1号(実際には野生動物を原告とすることは認められず、「アマミノクロウサギこと○○」など実存の人間と結びつけて行った)。
2004年には「種の保存法」に基く「国内希少野生動植物種」に指定された。