知床

[ シレトコ ]

解説

オホーツク海と根室海峡に接した北海道北東部の知床半島地域の総称。北海道斜里郡斜里町及び目梨郡羅臼町に属する。半島中央部には標高1,500mを越える火山群(最高峰は羅臼岳1,661m)が連なり、人手の入っていない多様な植生が連続して存在する。

知床半島周辺の海は、世界で最も低緯度に位置する季節海氷域であり、アイス・アルジー(氷に付着した藻類)の大増殖や融氷に伴う植物プランクトンの大増殖が海生生物の餌条件や生活史の一部を支えている。そして、この海で育ったサケ・マス類などの魚類はシマフクロウ、オオワシ、オジロワシなどの希少鳥類や、ヒグマの重要な餌資源として陸上生態系を支えている。このように知床の生態系は、海洋生態系と陸上生態系とが連続した複合生態系の仕組みを示す顕著な見本であり、また、ヒグマが世界的に見ても高密度に生息し、シマフクロウなど国際的希少種の重要な繁殖地や越冬地になっていることなどから、2005年7月に開催された世界遺産委員会において、新たな世界自然遺産として登録されることが決定した。

世界自然遺産に登録された地域は、半島基部の遠音別岳(おんねべつだけ)から半島先端部までの陸上と周辺の海域を含む面積71,100haの地域(海域22,400haを含む)であり、遠音別岳原生自然環境保全、知床国立公園、知床森林生態系保護地域など国内法の保護地域に指定されている。知床の世界遺産リスト登録により、日本の世界自然遺産は1993年に登録された「白神山地」、「屋久島」を合わせ3箇所となった。(その後2011年の「小笠原諸島」登録により4箇所となっている。)

詳細解説

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