炭素回収貯留

[ タンソカイシュウチョリュウ ]

解説

化石燃料の燃焼で発生する二酸化炭素を分離・回収し、地質が持つ炭素貯留能力や海洋が持つ炭素吸収能力を活用し、大気から二酸化炭素を隔離する技術のこと。英語表記の頭文字を取って「CCS」と略称される他、「炭素回収貯留」とも呼ばれる。

この技術によって、火力発電所などから発生する二酸化炭素を長期間にわたって地下に隔離することができる。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、CCSを地球温暖化の緩和策の有力な選択肢の一つとして取り上げて特別報告書を取りまとめた(2005年)。その特別報告書で、CCSは将来の温室効果ガスの大気中濃度を450-750ppmの間で安定化させるための潜在的可能性を持った技術として評価されている。また、温室効果ガス排出量の算定方法をまとめた2006年IPCCガイドラインには、CCSの技術論的な計上方法が示されている。しかし、京都議定書の第一約束期間(2008年-2012年)については1996年ガイドライン(CCSについて記述なし)を参照することが決められており、現時点でCCSによる貯留量を各国の排出目録(インベントリ)から差し引くことはできない。さらに、クリーン開発メカニズム(CDM)としてCCSを認めるかどうかの議論がなされているが、二酸化炭素の漏出、環境への影響などについて異論も多く、これまでのところ方法論としては認められていない。

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