海洋保護区

[ カイヨウホゴク ]

解説

四方を海に囲まれているわが国の管轄海域は国土面積の約12倍に相当するなど世界有数の海洋国となっている。特に沖合域の海山、熱水噴出域、海溝などをはじめとして、多様な環境や生態系が形成されており、既知のバクテリアから哺乳類まで合わせるとその数は3万種以上となり、世界の全海洋生物数の約14%を占めるなど、生物多様性が極めて高い状況にある。

2010年に名古屋で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)において採択された愛知目標のひとつ(目標11)のほか、持続可能な開発のための2030アジェンダの持続可能な開発目標のひとつ(SDG14.5)に、2020年までに海域の10%を海洋保護国設定することとされている。これらを受けて、近年、大規模な海洋保護区の設定が世界的に進められており、2018年5月時点で国の管轄権が及び水域の約16.8%が海洋保護区となっている。

わが国においては、2019年2月の時点で、沿岸域を中心に約8.3パーセントの海域に海洋保護区として設定されている。一方、排他的経済水域を含む沖合域においては、自然環境の保全を目的とした保護区を指定する法制度が存在していなかったことから、新たな海洋保護区制度を創設し、自然環境の保全と海洋資源の利用とを両立させることが課題となっていた。

このため、中央環境審議会による審議及び答申(2019年1月)を踏まえ、2019年4月26日に自然環境保全法の一部を改正する法律が公布され、新たな保護区制度として、沖合の区域(領海の水深200メートル超の区域と排他的経済水域等)に指定することができる「沖合海底自然環境保全地域」が盛り込まれた。(2020年2月作成)

詳細解説

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