極域成層圏雲

[ キョクイキセイソウケンウン ]

解説

南極、北極上空の成層圏の雲のこと。オゾンホールが極域の成層圏で起きている現象には、-78℃以下の超低温で発生する極域成層圏雲が関与している。

極域では、フロンなどから放出された塩素原子が、冬季に硝酸塩素や塩化水素の形で極域成層圏雲に漂い、それが春の訪れと光エネルギーにより硝酸に変化する過程で塩素原子を放出する。そして、その塩素原子が連鎖反応的に成層圏オゾンを壊すのである。さらに、CO2などの温室効果ガスが増加すると、地上付近では気温が上昇するが、成層圏の気温は低下する。それが、極域成層圏雲の発生を促進し、成層圏オゾンの破壊を加速すると考えられているのである。南極上空の成層圏では、南極大陸の周りを「極渦」と呼ばれる強い西風が吹いており、オゾンが破壊された空気が極渦の中に閉じこめられる。北極でも南極と同様にオゾン破壊が起きているが、極渦の流れが一様ではなく、歪んでいるために、明確な「オゾンホール」は生じていない。

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